京扇子・京うちわとは
千余年の都「京都」で創作されその豊かな風土と文化に育まれ、時代時代の人々の生活に密着しながら今日もなお常に新しい創意と工夫を加え、他地方では見られない繊細優美な美しさを生み出す。
「京扇子」「京うちわ」の名称表示ができるのは、京都を中心として国内で生産された商品のみに限られ、京都扇子団扇商工協同組合に加盟する工房・販売店だけが使用できるものです。
京扇子の歴史
京扇子は先ず「桧扇」と呼ばれる薄い桧板を重ね綴ったものが作られました。
元慶元年と記されている東寺の仏像の腕の中から発見されたものが最古の桧扇とされています。次に竹と紙で出来ている「紙扇」が作られ、時代を経て現在に見られるような形となり、宮廷の用、能、狂言、舞踊、茶、香など用途に応じ様々の京扇子が生まれました。扇子はまた、国内ばかりでなく古く13世紀頃には中国へ輸出され、インドを経て遠くヨーロッパに伝えられルイ王朝を華やかに彩りました。そして、その後日本へ逆輸入され「絹扇」を生み出しました。
京うちわの歴史
京うちわは地紙の中に多くの竹骨をもつ朝鮮団扇の流れを汲み、団扇面と把手が別に作られ、<差し柄>の構造になっていることが大きな特徴です。京うちわは「都うちわ」とも呼ばれ、宮廷にも用いられ極めて優美な絵画が画かれてきました。又一般に普及し、招涼の用具としてばかりでなく、その優美さが人々に喜ばれています。
京うちわの種類とできるまで京扇子の種類
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京扇子のできるまで
(1) 扇骨加工(せんこつかこう)
(1-1) 胴切(どうぎり)
(1-2) 割竹(わりたけ)
(1-3) せん引 (せんびき)(割竹を必要な厚さまで薄く削ぐ(へぐ))
(1-4) 目もみ(要を通す穴をあける)
(1-5) あてつけ(扇骨成型)
(1-6) 白干し(しらぼし)
(1-7) 磨き(みがき)
(1-8) 要打ち(かなめうち)
(1-9) 末削(すえすき)(紙の間に入る扇骨を薄く細く削る)
(2) 地紙加工(じがみかこう)
(2-1) 合わせ(あわせ)
(2-2)乾燥
(2-3) 裁断
(3) 加飾(かしょく)
(3-1) 箔押し(はくおし)
(3-2) 上絵(うわえ/手描き)
(3-3) 木版画摺り(もくはんがずり)
(4) 折加工(おりかこう)
(4-1) 折り(おり)
(4-2) 中差し(なかざし)
(4-3) 万切(まんぎり)
(5) 附け加工(仕上げ)
(5-1) 中附け(なかつけ)仕上げ加工
(5-2) 万力掛け(まんりきがけ)
(5-3) 親あて(おやあて)
完 成
うちわの種類と特徴
平柄うちわ
太い竹を必要な長さに切り、6~9分の幅に割り先端を細かく裂いて作ったうちわです。
主として丸亀市で作られています。
丸竹柄うちわ
細い竹の両端を切り先端を細かく割って作ったうちわです。
主として千葉県で作られています。
京うちわ(みやこうちわ)
細い竹ひごをならべて両面に紙を貼り柄を差し込んだうちわ。
これが伝統の京うちわとなります。
上部の骨数により等級が変わる「京うちわ」
「京うちわ」は、うちわ上部の骨(細い竹ひご)の数により、等級が定められています。
50本並べて5立て・・・主として下級品
60本並べて6立て・・・主として並級品
70本並べて7立て・・・主として中級品
80本並べて8立て・・・主として上級品
90本並べて9立て・・・主として上級品
100本並べて100立て・・・主として飾りうちわ
いろいろな「京うちわ」
京うちわのできるまで
(1) うちわ骨加工
(1-1) 胴切(どうぎり)
(1-2) 割竹(わりたけ)
(1-3) 巾揃え(はばそろえ)
(1-4) 厚さ揃え
(1-5) きざみ(うち骨の上端にきざみを入れる)
(1-6) もみ(竹の繊維を応用してきざみをもみひろげる)
(1-7) (必要な厚さまでさらに薄く削ぐ)
(2) うちわ紙加飾(かみかしょく)
(2-1)手描き・木版・染め・はり絵など
(3) 裏張(うらば)り加工
(3-1) 仮張(かりばり)
(3-3) 裏張(うらばり)
(3-2) めくり
(4) 仕上げ加工
(4-1) 合わせ(表の紙を貼る)
(4-2) 念付け(ねんつけ)
(4-3) 元板付け(もといたつけ)
(柄(え)を差す部分(中心)に布又は厚手の紙を貼る)
(4-4) なり廻し(うちわの形に成型する)
(4-5) へりとり(ヘリを細く、薄い紙で貼り補強する)