宮脇賣扇庵
創業文政6年。京都市街の中心部、東西に走る六角通りと南北に走る富小路通りの交差点を東へ少し入ったところ。
宮脇賣扇庵は、虫籠窓に紅殻格子、表に張り出した床几など、古き良き京の面影をとどめる近世の町家そのままの店構えで、観光客の観光ルートとしても知られています。
店内には、明治期の京都画壇の巨匠四十八画伯によって描かれた天井画などの絵画や書などが多く残され、京都や日本を代表する画家との深いつながりを今に伝えています。
気品と優美に彩られ、今に受け継ぐ伝統美
宮脇賣扇庵は、江戸時代からほぼすべての製品を自社で製造販売してきました。三代目が工芸品としての飾り扇を考案した後も、その伝統と技法は今日に継承され、昭和34年には、当時の皇太子殿下のご成婚の際に、祝の扇を献納させていただきました。手触りや開き具合、重さ、使い勝手など、用と美が一体となった扇作りは高い評価を受け、扇面には多彩なオリジナルの絵が用いられ、その多くが手描きで仕上げられています。
技術の継承と扇文化の普及に尽くしています
扇子は87回職人の手を通るといわれます。その工程は20余りに分かれています。
大別すると扇骨作り、扇面作り、扇骨と扇面を組み合わせる仕上げ作業ですが、時代とともに職人の確保が難しくなっています。
宮脇賣扇庵は、優れた職人とその技術を確保し、技術継承へ熱意をもって取り組んでいます。
貴重な美術品を多数ご覧いただけます
百有余年を経た店舗は、往時の商家の名残をそのままにとどめ、店内には古扇の資料があふれています。 天井画は明治35年。鉄斎、栖鳳、直入など京都画壇の巨匠48画伯よって描かれた扇の絵柄をあしらった天井画が残され、東都著名画家12人による扇画面とともに、大切に保存されています。
また、四条派の流れをくむ紀廣成の大作、北大路魯山人の作品、さらに著名人による寄せ書きや掛け軸なども残されています。 これらの収蔵品は、貴重な美術作品でもあり、宮脇賣扇庵の扇作りにも活かされています。