「京扇子」「京うちわ」は京都扇子団扇商工協同組合の登録商標(地域団体商標)です。
当組合員以外は使用できません 。

 イベントやニュース、ドラマ、歴史でとりあげられた扇子・団扇にスポットを当て、
 詳しくご紹介していくコーナーです
    ■No−02 扇流し 〜五色扇・五色うちわ〜
扇流し
 毎年5月第3週の日曜に開催される三船祭には、芸事の上達を願って、扇子・うちわが、川面に流す、いわゆる「扇流し」が十二単の姫君様などによって行われます。一般のモノも流されますが、このために特別に作られた扇子・うちわもあります。五色のバリエーションに、祭事を司る車折神社のご紋が入ったとっても気品のある仕上がりとなっており、ちょっと流してしまうのがもったいないくらいです。

 五色は青・紅・黄・白・黒からなり、昔の「五行(ごぎょう)思想」に基づいています。これは万物は木・火・土・金・水の五元素から成り立っており、それぞれが影響しあって一切の物事が変化・循環するという考えです(たとえば「木」が燃えて「火」が生まれるが「水」で消滅する、など)。木=青、火=紅、土=黄、金=白、水=黒がもともとのシンボルカラーなのですが、扇子・うちわでは青を緑に、黒を濃紺に近い色にしています。
 扇子・うちわとも、向かって表面の右上に車折神社のご紋が金色の紗(しゃ)刷りで入っています。


(*扇子・うちわとも当組合員によって製作されています。なお、祭事用途以外は、一部関係者にお分けするのみで、申し訳ありませんが、現在のところ一般に販売はしておりません。ご了承ください)

五色扇
 扇子の型は蝙蝠(かわほり)といい、古式の夏扇の形式を伝えています。コウモリの羽の形のようなのでこの名がついたといわれています(当ホームページ「扇子の種類」の項目参照)。
 長さは8寸5分(約28cm)、白竹骨の5間(けん:骨の数)仕立で、扇面の左右両端が骨を境に切り落ちている「端(はた)落ち」という仕上げになっています(これも「扇子の種類」内の舞扇写真で、扇子の右端を見比べてみてください。「端落ち」の有無がよくお分かりいただけるかと思います)。
 画面では分かりにくいのですが、扇面の折り目はいわゆる「折り畳み」ではなく、ゆるいカーブ状に曲げられています。これは「ウマ」という特殊な道具を使って紙を曲げる「ウマをかける」「ウマかけ」といい、手間はかかりますが上仕立の製法です。


五色うちわ
 うちわの型は長柄(長柄)型といい、文字通り長い柄(え:持ち手)が特長で、全長約39cmあります。その中でも、この五色うちわは頭(あおぐ部分)の骨は約60本仕立で、やや小さ目の「小丸(こまる)」型を採用。姫君のイメージにマッチした演出をしています。この、頭と柄が別々のパーツになっているのが京都のうちわの大きな特徴です。

(おまけ)扇流しのウラ話
 食事や着付けを済ませて12時半ごろから乗船準備を始めますが、扇流しは乗船してすぐはじめるのではなく、神様に敬意を表して、三船祭の神事が一通り終了するのを待ってからはじめますので、実際に流し始めるのは2時ごろになります。

 下船は4時ごろですので当然その間は船の中。よほどのことがない限り下船できないのでトイレは必ず済ませておく必要があります。雨も大変ですが、5月下旬ともなると日差しが川面に照り映えて結構暑い(大変)。

 我々が気を遣うのは、船が岸に近づいたとき、観客の皆様に扇子・うちわをねだられること。お気持ちはよくわかりますが、本来は「流すため」のものだし、欲しがる人は後をたたないし、数には限りがあるし・・・そういうわけで、もし手に入らなくても気を悪くしないで下さい。中にはどうしてもらえないのだと怒る方がいらっしゃいます(苦笑)が、そうおっしゃってもこちらは弱ってしまいます。恐縮ですが、本当にオトナの対応をよろしくお願いします。

 流された扇子・うちわは、環境維持の観点から、スタッフがボートに乗って下流で回収します。せっかくの風流な情景に、水を差しかねない役回りですが、放っておくとやはり川を汚す「ゴミ」になりますので、こちらも事情をお察しください。
 ただ、最近は流した直後に、ボートで見物されているお客様に拾われてしまう事が多いそうで、どちらにしてもあまり長く川面を漂うことは少ないようです。気になっているのは、水を吸った扇子・うちわはブヨブヨになってもうマトモに使えないと思うのですが、拾われた方は、どうされているのでしょうか。スタッフ一同、すごく(笑)興味があります。
 2006年は前日の雨で川が増水し、一般ボートは貸し出し禁止となりました。が、かえって貸しボートでごった返すこともなく、船が悠々と川を進んでいたのが印象的でした。流した扇子・うちわも長い間漂っていて、「風情があってよかった」との感想が多かったです。

 十二単の姫君は2名。2艘の船に一人ずつ乗船します。着物の重さは約10数キロと非常に重いです。その上、船の前席に一人で座っていないといけないのであまり他の人と話ができないこともあるのでちょっと寂しいかも・・・。それでも、終わってから多くの方に感想をお尋ねすると「とても楽しかった!ぜひまたやってみたい」とのご返事をいただきます。それは何といっても文字通りの「一日お姫様気分」を満喫できるからではないでしょうか。とにかく十二単は注目のマト。ほぼ一日中熱いカメラ撮影の集中砲火を浴びます。着付けのときから一般公開されてますし、乗船・下船の行列でもカメラ小僧・カメラ親父はおろか、運がよければ報道関係のテレビカメラの取材も受けます。過去にイギリスのBBCが取材に来たこともありました。

 関心をもたれた方は一度応募をご検討ください。詳細はトップページにあります。希望者が多ければ選考になりますが、年齢や未婚・既婚は問いません。過去には、外国人女性やFM京都のDJ、宝塚出身の女優・涼風真世さんなども参加されました。

 涼風真世さんは土曜サスペンス劇場の収録で参加。「芸者で弁護士」という、なんかすごい主人公役で、ひょんなことから十二単の姫君になり祭に参加するというこれもすごいお話でした。テレビ放映も見ました。火野正平さんが相手役。
 (*あとで調べると、2001年8月放送の「京都の芸者弁護士(5) 清香危うし! 芸者の入廷を禁ず 扇連続殺人仰天アカペラ法廷!」でした。すごいタイトル。おそるべし土サス)

■No−01 扇流し 〜五色扇・五色うちわ〜